西野 厚志 NISHINO Atsushi
- 専門分野
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日本近現代文学 / 小説・批評
- 所属
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- 国際文化学部 人文学科 文学専攻
- 大学院 人文学研究科
経歴・業績
1978年、京都府舞鶴市生まれ。早稲田大学教育学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(学術)。早稲田大学教育・総合科学学術院助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、早稲田大学・首都大学東京・大妻女子大学非常勤講師などを経て、2015年度から本学人文学部教員に就任。専門は谷崎潤一郎を中心とする日本文学、近代における古典作品の受容、文学と検閲制度や映像メディアとの相関関係について。主な著書に『講座源氏物語研究 第6巻 近代文学における源氏物語』(共著、07年)、論文に「Lost in Transformation—谷崎潤一郎訳「源氏物語」の〈女にて見ること/女性への生成変化〉—」(『日本近代文学』第81集)、「明視と盲目、あるいは視覚の二種の混乱について—谷崎潤一郎のプラトン受容とその映画的表現—」(『日本近代文学』第88集)など。また、谷崎没後50年・生誕130年にあたる15年と16年には、『別冊文藝 谷崎潤一郎 没後五十年、文学の奇蹟』(河出書房新社)、『別冊太陽 谷崎潤一郎』(平凡社)へ寄稿したほか、谷崎の代表作「細雪」が収録された『谷崎潤一郎全集』第19巻、第20巻の解題を担当した。
メッセージ
環境の変化は人や物の流れを変えて予期せぬ出会いを用意し、そこで生れる芸術表現やコミュニケーションのあり方にも影響します。例えば、私が研究している谷崎潤一郎は、映画制作や『痴人の愛』などの小説で西洋文化を謳歌していましたが、関東大震災を機に東京を離れて関西へ移住、『源氏物語』の現代語訳や代表作『細雪』などで日本の古典的な美を追求するようになりました。環境が物語の形式や文学表現を変える一方で、新たな表現や価値観の登場が環境を作り変えることもあります。現在、東日本大震災によって社会の構造的な問題(エネルギー使用など)が顕在化し、従来の価値観が問い直されています。目の前の変化を受け止めて、新しい価値を創造することこそ、人文科学の使命ではないでしょうか。このたび長年住み慣れた東京を離れて京都に移り住むことになりました。まだ見ぬ皆さんとの出会いに期待しています。