2019年12月5日(木)に映画監督の今泉力哉氏を講師に迎え、アセンブリーアワー講演会「何も伝えたいことなんてないけど何かをつくりたい人たちへ」が開催されました。
今泉氏は、会社勤めのかたわら自主映画を作り続け、2010年に「たまの映画」で商業デビュー。以降、継続的に長編映画を手がけ、新作を発表するごとに注目を集めて来ました。そして2019年には「愛がなんだ」が大ヒットし、さまざまなメディアを席巻しました。今年の9月には最新作「アイネクライネナハトムジーク」が公開、続けて「mellow」、「his」、「街の上で」の監督作が公開を控えています。また、今シーズンのテレビドラマ「時効警察はじめました」の監督もつとめるなど、まさに、現代を代表する映画監督の一人です。
講演では、今泉氏が映画監督を志すまでのエピソードや、いま、どんなことを思って創作活動に取り組まれているのかなど、余すところなく語っていただきました。
今泉氏は幼い頃、祖父に連れられ映画館に通っていたことがきっかけで、映画の道に興味を持ったそうです。大学で映画制作を学ぶものの、在学中に初めての挫折を経験します。
「周りと比べて、自分の作品はホームビデオみたいだった。こんなんじゃ映画監督にはなれない、と思った」。そこで一度は映画への道をあきらめ、お笑いの専門学校に通います。ホストクラブのアルバイト等、様々な経験を経て、やはり映画をつくりたいと思い、再奮起して映画学校へ。そこで気づいたのが、大学で感じた自分の作品の未熟さの理由でした。「単に技術の問題だったんです。でも、いまになってみると、技術よりも『その人にしか撮れないもの』の方が、ずっと重要だということがよくわかる」。
講演のテーマ「何も伝えたいことなんてないけど何かをつくりたい人たちへ」について、今泉氏は学生に向けてこう語ってくれました。
「伝えたいことがない人が創作をしてもいい。今、みなさんは就活などで迷う人もいるだろうけど、あせらなくてもいい。『こうしなきゃダメ』ということなんてない。世の中の『これがいい』とか、『普通』を疑うことこそが大事。それによって、自分の位置がみつかっていくんです」。
今泉氏のことばに勇気付けられたのか、講演後の質疑応答では、学生たちが次々に手を挙げました。なかには恋愛相談まで飛び出しましたが、今泉氏は質問者に寄り添い、一緒に悩みながらやさしく回答してくださり、生の講演ならではの刺激あふれる会になりました。
講演後も今泉氏への個別質問が止みませんでしたが、遅くまで参加者と交流し、回答してくださいました。
今泉さん、貴重なお時間をありがとうございました!
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次回アセンブリーアワー講演会は2020年1月8日(木)。本学マンガ学部で長く教鞭をふるってきたマンガ家、竹宮惠子先生の最終講義を、一般の方にも公開します。
みなさま是非お越しください。
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