伊藤 遊(イトウ ユウ) ITO Yu

専門分野

マンガ研究・民俗学

所属
  • マンガ学部 共通教員
  • 国際マンガ研究センター

経歴・業績

大阪大学大学院博士後期課程単位取得退学後、京都国際マンガミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター研究員を経て、現在、京都精華大学国際マンガ研究センター特任准教授。
京都国際マンガミュージアムを中心に、数多くのマンガ展のキュレーションを担当。「赤塚不二夫マンガ大学展」(於・京都国際マンガミュージアム、2011年)、「日常を少しだけズラす」(於・イタリアルッカ市・Pallazzo Ducale、2014年)「土田世紀全原画展 43年、18,000枚。」(於・京都国際マンガミュージアム、2014年)、「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から」(同、2015年)、「横山裕一 〈これをネオ壁面と呼ぶ〉 集合する名士とけもの」(同、2015年)、「ギガタウン・イン・テラタウン こうの史代の「漫符図譜」」(同、2018年)、「ゲンガノミカタ 原画でひもとく6つのマンガ史」(於・横手市増田まんが美術館、2019年)、「荒俣宏の大大マンガラクタ館」(於・京都国際マンガミュージアム、2020年)など。また、「マンガミュージアム研究会」として、ウェブサイト「マンガ展のしくみ」(https://mangaten-shikumi.com/)を運営している。
マンガ研究における現在の研究テーマは、「マンガ展」と「学習マンガ」。主な出版業績としては、『「はだしのゲン」がいた風景』(梓出版、2006年、共著)、『マンガミュージアムへ行こう』(岩波書店、2016年、共著)などがある。
民俗学における研究テーマは、「路上観察」の元祖である「考現学(こうげんがく)」。このテーマの論文として、「考現学で民俗学するということ 今和次郎・路上観察学会・野外活動研究会の「〈日常生活〉研究」作法」川村邦光編『語りと実践の文化、そして批評』(文化/批評編集委員会、2003年)、「考現学における断片化と再構築 〈キッチュ考現学〉における風景の蒐集」田中雅一編『フェティシズム研究1 フェティシズム論の系譜と展望』(京都大学学術出版会、2009年)などがある。
「特定非営利活動法人 障碍者芸術推進研究機構(天才アートKYOTO)」理事。
 

メッセージ

日本において、マンガという〈ポピュラーカルチャー〉はしばしば、ごはんを食べたり、お風呂に入ったりすること、つまり〈日常生活〉の延長線として存在しています。実際、マンガを、ごはんを食べながら、あるいはお風呂に入りながら読んでいる、という人は少なくないと思います。
ぼくが専門とする「民俗学」は、誰もが毎日していることなのに、意識されることがほとんどないこの〈日常生活〉を観察し、その意味を読み解いていく学問ですが、その意味で、マンガという〈ポピュラーカルチャー=日常生活文化〉は、民俗学的に、とても興味深い研究対象なのです。
マンガ作品に描かれていることだけでなく、マンガがどのような状況や環境の中で、どのようなものとみなされながら読まれているのか、といったことを分析することで、今を生きる私たちの「気分」や、そうした気分を支えている「歴史」や政治的状況までも、透かし見ることができると思っています。
そして、このことが大切なんですが、マンガは、その作品が創られた文化的背景を意識した上で読んだ方が圧倒的に面白い!のです。