2021年3月9日(火)に、2021年2月1日にミャンマーで発生した軍事クーデターを受け、「ミャンマーの今を考える—ミャンマーとクーデターの現状分析」と題して緊急WEBシンポジウムを開催しました。
本学では、これまでも「日本におけるブラック・ライヴズ・マター(黒人の命を尊重しろ)運動を考える」や『マリ危機と西アフリカ経済共同体(ECOWAS)の役割:日本からの分析と危機脱却の考察』など、世界各地での起こっていることに対して、現状を分析し、ともに考える機会としてのシンポジウムを開催してきました。
今回のシンポジウムは、ZOOMを使用したオンライン形式で開催。当日は国内外から、752名の参加がありました。
冒頭のウスビ・サコ学長が趣旨説明を行い、今回のシンポジウムによって現状を正しく把握し、この問題を考えていくきっかけの場としたいとメッセージを発しました。
基調講演では、中西嘉宏(京都大学東南アジア研究所)氏より、ミャンマーの軍隊と政治の関係性、そして今回の軍事クーデターの背景の解説と、市民運動や国軍の現在の動きについての紹介が行われました。
その後の、パネルディスカッションでは、ジェラルド・マッカーシ氏(シンガポール国立アジア研究所)、後藤修身氏(ミャンマー在住の写真家)とナンミャケーカイン氏(ミャンマー出身、4月から本学国際文化学部に就任予定)が参加し、それぞれの専門的立場からミャンマーの現状について議論が交わされました。マッカーシ氏は、選挙結果が軍の望む政治形態を維持できないものとなってしまったことが今回のクーデターの発端であると指摘し、広範な市民の不服従運動により軍内部にも疑問が出てきている現状を紹介しました。現在もミャンマーに在住の後藤氏は、多くの国民がどのようにクーデターを受け止め、どのように行動しているかを詳細にレポートし、「ミャンマーの人たちはここで負けたら、今後一切軍事政権から抜け出す事はできないと考えている。だから必死に今戦っている」と、現地の熱意を伝えました。1988年のクーデターを現地で経験したナンミャケーカイン氏は、当時と今回を比較し、今回のクーデターの特殊性を浮き彫りにしました。
パネルディスカッションのモデレーターを務めたサコ学長は、基調講演とパネルディスカッションを通し、ミャンマーのクーデターの背景や現地の状況への理解を深める機会となったこと、また刻々と変化する情勢に今後も注視し、継続的に学んでいくスタートとしたいと述べ、シンポジウムを締めくくりました。
当日ZOOMのQ&A機能を利用して、参加者から多くの質問やコメントが寄せられました。アフリカ・アジア現代研究センターのWEBサイトでは、シンポジウム内でお答えできなかった質問への回答と、当日の様子を動画にて公開しています。
開催概要や登壇者の略歴は、開催案内よりご確認ください。
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