京都精華大学では全学部生対象のキャリア科目「クリエイティブの現場」にて、「Sky 星を紡ぐ子どもたち」などで知られる開発スタジオ・thatgamecompanyジャパン・ブランド・リードの水谷立(みずたにりつ)氏による特別講義を開講しました。
「クリエイティブの現場」は、現役のクリエイターやプロデューサー、コンテンツ企業経営者から、新しい時代の「企画」「コンテンツづくり」「プロデュース」を実践的に学ぶ授業です。第一線で活躍するさまざまな講師による講義やワークショップ形式の授業により、学生たちの表現活動のレベルをさらに引き上げ、卒業後の可能性を大きく広げることを目的としています。
特別講義の第1回目は、4月13日(木)に開講。「感情のデザイン-心をつなげるゲームの設計-」と題し、thatgamecompanyの水谷氏とヴィジュアル・デヴェロップメント・リードの田邊裕一朗氏による共同講義となりました。
はじめに、水谷氏が同社におけるゲームデザインの役割について説明。「thatgamecompanyのゲームは、数あるエンターテイメントの中でも幅広く人を魅了する映画を参考にしており、言語や年齢、性別に関わらずどんな人でも楽しめることを目指しています。」と語られました。代表作である「Sky 星を紡ぐ子どもたち」のゲームデザインについて、水谷氏は「インタラクティブ・ソーシャル・スペース」として、大人向けや子供向け、など特定の人に向けたゲームではなく、すべての人が同じ体験を共有し、心からつながる事ができるようにデザインをしています。」と説明。家族と一緒に楽しむプレイヤーのエピソードも披露しました。
続いて田邊氏が、これまでの自身の経験を元に、心をつなぐゲーム設計における、ビジュアルの役割についてレクチャー。まずキャラクターづくりについて、キャラクターはゲームの本質を体現するものであると説明し、「パーツそれぞれの役割を考えた上で、余計なものを入れずに削ぎ落としていくことで、ゲームの魅力を高めるキャラクターが出来上がる」と語られました。「Sky 星を紡ぐ子どもたち」のゲームの舞台について、「普遍的に遊んでもらえるゲームにするために、『1日の経過・人間の一生・文明の滅亡』の3つのテーマ、またプレイヤーに感じてもらいたい感情曲線を設定した上でデザインに入りました。例えば1日の真ん中である夕方の時間帯は、人間の成熟期とリンクさせ、鮮やかな夕日と勢いのある形のデザインにするなど、3要素に沿ってデザインしていきました」と具体的に解説いただきました。
最後に、水谷氏がオーディオ・デザインの奥深さについて、実際のゲーム映像を交えながらレクチャー。「Sky 星を紡ぐ子どもたち」は言葉を必要としないゲームであるからこそ、ゲーム内のサウンドは、プレイヤーの感情を盛り立て、ときにストーリーの語り手としての役割を担うと言及されました。ゲーム内にある「フレンドと手をつなぐ感情表現の効果音」を依頼された際には、「手をつないで立ち止まった時に、心拍音が感じられるような仕掛け」を作り、あえて低音を削らない設計にすることで、プレイしている端末に振動を与え、相手の存在を感じやすいようなデザインにした、という開発秘話も披露されました。
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