受賞・出版等

2018年度「キヤノン写真新世紀」で在学生が佳作入賞

「キヤノン写真新世紀」に、芸術学部版画専攻4年・肥後亮祐さんの作品が佳作入賞しました。「キヤノン写真新世紀」は、写真表現の新たな可能性に挑戦する新人写真家の発掘・育成・支援を目的に開催される文化支援プロジェクトです。
 肥後さんは大学で学ぶ中で、一見すると関係ないと思えることが実はどこかでつながっているのでは、と思うことがよくあるそうです。そのような感覚に面白さをおぼえ、1つの専門的な学びだけではなく他のことがらについても学ぶことや、自身が専門として学んでいる美術というフィルターを通して他のものごとを眺めてみることに関心を持っています。
 今回入賞した肥後さんの作品は、被写体となっている人物が質問に答える際に「ええと、あの、まぁ・・・」といった“フィラー”と呼ばれる言葉を発する場面を集めた大変ユニークな視点で制作された映像作品です。画面にはそのフィラーが発せられる際に動く被写体の手や足元もクローズアップして映し出されます。
 肥後さんは、コミュニケーションのやり取りの中ではそぎ落とされてしまう、会話の内容とは一見無関係と思えるようなことにも意味があるのではないか、という問題意識からこの作品制作に取り組みました。また、被写体の本人もコントロールしきれないこのような動作に、人をひきつける何かが潜んでいるようだと語ります。肥後さんによる作品の解説には、次のようにあります。
 
 「人は何かを伝えるとき、言葉になる前の何か(知覚された膨大な情報)をそのまま伝えることはできない。情報量の少ない言語的な何かに変換して伝えることでコミュニケーションを図ることができる。(中略)何かになる前のものは標本化されることで、本来そこにあった情報が抜け落ちてしまう。「フィラー」を発している最中に身体から滲み出る仕草や表情は変換途中に抜け落ちた何かになる前の未分化な情報に思える。」
↑作品の一場面
肥後さんの作品は、10月27日(土)~11月25日(日)まで東京都写真美術館で展示されます。ぜひご高覧ください。入賞おめでとうございました。

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