
岩本 真一
- 専門分野
- 日本近現代史 / 思想史
HISTORY
京都には平安神宮や京都三大祭(葵祭、祇園祭、時代祭)など、歴史的な遺産が数多く残っています。それぞれの歴史的背景を探るとともに、講義を受けるだけでなく、実際に現地を歩いて体感するフィールドワークを行います。
歴史を研究するうえで史料の解読を避けて通ることはできません。しかし、当時の文書を読むためには、くずし文字の表記ルールや、時代ごとの様式を理解することが必要です。この授業では、江戸時代の史料を実際に読み解きながら、意味や内容を正しく解釈できるようトレーニングを行います。
FIRST
1年次は大学で学ぶための基礎を身につける期間です。人文学の学びに不可欠な「言葉」の力を身につけるために、少人数のクラスに分かれて、文章を読み、話し、書く力をやしないます。また、歴史や文学、社会、国際、日本文化の多様な切り口から物事を考える経験を積み、自由な視点を育てます。
SECOND
並行して長期フィールドワークに向けて教員の指導のもと計画を立てます。後期からは半年間、キャンパスを離れて現地調査を行います。この経験で得られるのは、自ら考え、実践し、他者に伝える力。将来どのような道に進んでも生かせる、たしかな力と自信です。
THIRD
長期フィールドワークの調査報告をまとめると同時に、各コースの専門科目で深い知識と研究方法を身につけます。また、少人数のゼミに所属し、文献の読解やテーマに関する調査の発表やディスカッションに取り組みます。対話を通じて多様な意見に触れながら、思考を深めていきます。
FOURTH
4年間の学びの集大成となる、卒業論文を執筆します。書き上げた卒業論文は、2月に行う卒業制作・論文発表展で全員が展示します。学内外の人から客観的な意見をもらうことができる貴重な機会です。
京都の地域や寺社を調査する
古文書や文学作品に登場する京都の地域や寺社に足を運んで貴重な資料を見学し、現地を歩いて調査します。現代に残る寺社や地域社会と歴史・文学の繋がりも考えます。
近現代の京都を調査する
京都は言わずとしれた古都。政治的・思想的・歴史的な出来事がいくつも起こっています。それらの詳細を、フィールドワークで明らかにします。
京都の江戸時代を調査する
江戸を本拠とした徳川幕府にとっても京都は重要な都市でした。歴史と文学、双方からのアプローチで、江戸時代の京都に迫ります。
明治初頭の京都府政と遊所
本論文では明治初頭における京都府の遊所に関する政策について、その方針や展開過程などを検討し、遊所と京都府政の関係を明らかにすることが第一目標である。また、そこから見える遊所の動向や内部構造にも可能な限りせまることも目指している。
第一章では、明治三年閏十月の京都府による島原差配体制の廃止と遊所への税銭賦課を、京都府政の全体的な方針である勧業策との関係から考察した。第二章では、明治四年十一月の遊所への療病院税銭の賦課と検黴制度導入を検討し、医療の近代化のための療病院と遊所の関係を述べている。また、京都における本格的な黴毒検査のおこりである療病館についても検討を加えている。以上の第一章、第二章をふまえて第三章では、明治五年十月の「芸娼妓解放令」に対する京都府の対応を検討し、京都府がどのように「解放」を捉え、遊所を継続させようとしたかを考察している。
播磨国矢野庄から見る南北朝期における民衆の動向
南北朝期の東寺領播磨国矢野庄における百姓たちの動向には、東寺や在地の役人たちからの支配によって生じる影響と百姓たちの主体的かつ積極的な動きによって生じる影響の2つが大きく関わっていた。これら2 つの影響が生じる要因の事例として、本稿では寺田悪党の侵攻、十三日講事件、惣荘一揆を取り上げている。それぞれの事例では、紛争や支配層からの圧力がかかる場面で百姓たちの惣結合としてのつながりが強まり、次第に自治的な動きが見られるようになるとそれが乗じて一揆などにも発展していく様子が見られる。これの繰り返しによって惣結合はさらに強化され、それにつれて支配層との関係性も変化していったのである。
本稿は以上のような百姓たちの動向について、矢野庄の支配構造や荘園で起きた事象との関連性、それに伴う荘園内での百姓たちの立ち位置の変化を考察していくものである。