京都精華大学(京都市左京区、学長:ウスビ・サコ)ではこの度、創立50周年記念連続講演会「〈1968〉の文化 ~そのとき、何が起きたのか~」を開催します。パリ五月革命やプラハの春、また日本国内でもベトナム反戦運動などに多くの若者たちが参加した 1968 年。時代の問題意識は文化シーンにも共振し、文化諸ジャンルにおいても大きな転換が起きました。この年に本学が誕生したことも、時代の要請があったと いえます。連続講演会では、1968年に文化諸ジャンルのなかで何が起き、現在にどのような影響を与えたのかを、各界の第一人者に語っていただきます。
【プログラム】
■10月26日(金)18時
「1968年の詩」
佐々木幹郎 氏(詩人)
■11月9日(金)18時
「バリケードと音楽
~1968年の風景とサウンドスケープ~」
北中正和 氏(音楽評論家)
■11月23日(金)18時
「アングラからサブ・カルへ~ 革命の演劇か、
演劇の革命か、それとも~」
高取英 氏(劇作家・マンガ評論家)
■12月7日(金)18時
「土方巽と日本人—肉体の反乱
(於・日本青年館 1968.10)を中心に」
三上賀代(舞踏家・本学教員)
■12月22日(土)13時30分
「世界を変えることはできるのか?」
藤原ヒロシ(ミュージシャン・デザイナー・本学客員教員)
×辻恵氏(弁護士・元東大全共闘)
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会場:京都精華大学
※清風館入場無料・申込不要
【各回の概要と講演者プロフィール】
■10月26日(金)18:00
[文学] 佐々木幹郎(詩人) 「1968年の詩」
1967年10月8日、アメリカによるベトナム戦争に反対する第一次羽田闘争で、京都大学文学部一回生の山﨑博昭(18歳)が、空港に通じる弁天橋の上で死亡した。彼の死はその後に続く全共闘運動の起爆剤となった。何がそうさせたのか。文学はこのとき、どのような役割を果たしたのか。
佐々木幹郎(ささき・みきろう)
1947年生まれ。同志社大学文学部哲学科中退。1970年の詩集『死者の鞭』(構造社)で出発し、以後の詩集に『蜂蜜採り』(書肆山田、高見順賞)、『明日』(思潮社、萩原朔太郎賞)など。評論集に『中原中也』(筑 摩書房、サントリー学芸賞)、『アジア海道紀行』(みすず書房、読売文学賞)など。最新刊に『中原中也—沈黙の音楽』(岩波新書)。共著に『大正=歴史の踊り場とは何か』(講談社選書メチエ)。
■11月9日(金)18:00
[音楽] 北中正和(音楽評論家) 「バリケードと音楽~1968年の風景とサウンドスケープ~」
1968年に記録的な大ヒット曲が生まれた。京都の大学生が自主制作し、67年末に発売された「帰って来たヨッパライ」だ。そのヒットは燃え上がる若者たちの運動に呼応し、来るべき時代を予言する現象のさきがけだった。激動の社会と交差したフォーク、ロック、ジャズの動きをたどる。
北中正和(きたなか・まさかず)
1946年奈良市生まれ。京都大学理学部卒。音楽評論家。東京音楽大学講師。新聞、雑誌、放送などで世界各地の音楽を研究、紹介している。2000年から2012年までNHKFM『ワールド・ミュージック・タイム』のDJをつとめた。WEB音楽雑誌『ERIS』編集協力。著書に『ロック史』、『にほんのうた 戦後歌謡曲史』、『毎日ワールド・ミュージック』、編著書に『事典 世界音楽の本』、『細野晴臣エンドレス・トーキング』、『青島幸男読本』など。
■11月23日(金)18:00
[演劇] 高取英(劇作家・マンガ評論家)「アングラからサブ・カルへ〜革命の演劇か、演劇の革命か、それとも〜」
60年代後半のアングラ演劇がカウンター・カルチャーであった意味、それが、サブ・カルの先駆であったことを語る。演劇だけでなくピンク映画、ヤクザ映画、マンガ、にも触れ、文化の反乱がもたらしたものを、寺山修司、唐十郎、若松孝二、「あしたのジョー」、永井豪、竹宮惠子をとりあげながら語り、戦闘美少女の先駆についてもとりあげる。
高取英(たかとり・えい)
1952年生まれ。大阪市立大卒。寺山修司のスタッフの一方、1977~78年、「漫画エロジェニカ」編集長として三流劇画ブームの一翼を担う。劇作家として活動の後、86年、月蝕歌劇団を旗揚げ。「聖ミカエラ学園漂流記」はアニメ化され、自身が監督でVシネマ化。京都精華大学マンガ学部教授の後、大正大学表現学部客員教授。著書に「聖ミカエラ学園漂流記」(電撃文庫)、「寺山修司ー過激なる疾走」(平凡社新書) など多数。
■12月7日(金) 18:00
[舞踏] 三上賀代(舞踏家・京都精華大学教員)「土方巽と日本人—肉体の反乱(於・日本青年館 1968.10)を中心に」
明治以降の日本初のオリジナルとして「BUTOH」の名称のまま20世紀を代表する舞踊として全世界に浸透した「暗黒舞踏」は、前衛舞踊家・土方巽の独舞作品「土方巽と日本人—肉体の反乱」への全共闘世代の支持から認知が始まる。が現在まで国内では「芸のない素人の晒すだけの情念の踊り」と異端蔑視が続く。土方巽の功績をいま再照射する。
三上賀代(みかみ・かよ)
1953年生。舞踏家。お茶の水女子大学国文科卒、同大大学院博士課程修了(学術博士、舞踊学)。学生演劇活動、新聞社勤務後、暗黒舞踏創始者・土方巽、野口体操創始者・野口三千三に師事。とりふね舞踏舎 を主宰し、国内外舞踏公演多数。著書『増補改訂 器としての身體—土方巽・暗黒舞踏技法へのアプローチ』
(春風社)ほか。
■12月22日(土)13:30
[時代] 藤原ヒロシ(ミュージシャン・デザイナー)×辻恵(弁護士・元東大全共闘)
「世界を変えることはできるのか?」
〈1968〉の若者たちは何を考え、どう行動したのか。現代文化のリーダー的存在である藤原ヒロシと、元東大全共闘でその志を保持し続ける辻恵との対話を通して、時代の核心を浮かび上がらせる。現在に遺された課題は何か、継承すべき思想は何か。現代史の転換点の意義を異なる世代の対話を通じて明らかにする。
藤原ヒロシ(ふじわら・ひろし)
1964年、三重県生まれ。京都精華大学客員教授。Fragment design 主宰。80年代からDJとして活動し、ヒップホップ、クラブミュージックを中心に自らもステージに立つ傍ら、UAなど人気アーティストのプロデュースも手がける。現在、音楽プロデューサー、アーティスト、ファッションデザイナーなど多方面で独自の活動を続けている。半生を描いた書籍に、『丘の上のパンク時代をエディットする男・藤原ヒロシ半生記』(川勝正幸・著)がある。
辻恵(つじ・めぐむ)
1948年生まれ。東京大学法学部卒。弁護士、元衆議院議員。1967年10月8日、高校同期の山﨑博昭の、佐藤栄作首相の南ベトナム訪問反対の羽田闘争での死亡に衝撃を受け、東大全共闘として社会変革を目指す。学生運動の敗北後弁護士活動を経て、民主党衆議院議員として政権交代を実現。日本政治の変革のため現在活動中。著書に「デッチあげを許さない・志布志選挙違反事件の真実」、共著に「政権崩壊」(角川書店)がある。
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