多様な文化・世界を体験し、グローバルな視点を獲得する

国際都市・京都、そして留学生が多い学内環境に身をおいて、実践的に英語やその他の言語を修得します。言語だけでなく、世界中のさまざまな文化や社会課題について、体験を通じて学びます。研究対象は歴史や宗教、経済やビジネス、食文化、芸術文化、ファッションや音楽、映画などのポップカルチャーまで広大です。興味があることを切り口に地域研究や文化比較を行うことで、国際社会の現状や問題について実感をもちながら深めることができます。グローバルな視野と、異なる文化を理解するための柔軟な思考力を伸ばし、世界の課題に向き合う力、どんな国や地域でも自分らしく生き抜ける力を獲得します。

めざせる職業
 国際公務員、貿易事務、外資系企業(総合職)、学校教員、学芸員、教育機関職員、旅行コーディネーター、NPO・NGO 職員 など

主な就職先
 国際展開する企業、ソーシャルビジネス関連企業、国際協力機関、旅行・観光企業、出版・Web 情報配信企業、NPO・NGO など
 
取得できる資格
 高等学校教諭一種免許状(英語)、中学校教諭一種免許状(英語)、図書館司書、博物館学芸員

4年間のながれ

  1. 1年次

    FIRST

    「言葉の力」を伸ばし、 大学で学ぶための 基盤をつくる

    1年次は大学で学ぶための基礎を身につける期間です。人文学の学びに不可欠な「言葉」の力を身につけるために、少人数のクラスに分かれて、文章を読み、話し、書く力をやしないます。また、歴史や文学、社会、国際、日本文化の多様な切り口から物事を考える経験を積み、自由な視点を育てます。
    異文化を知るための外国語学習も重視しています。
    学べる語学 : 英語、韓国語、フランス語、スペイン語、中国語

  2. 2年次

    SECOND

    学外での本格的な フィールドワークへ

    並行して長期フィールドワークに向けて教員の指導のもと計画を立てます。後期からは半年間、キャンパスを離れて現地調査を行います。この経験で得られるのは、自ら考え、実践し、他者に伝える力。将来どのような道に進んでも生かせる、たしかな力と自信です。

  3. 3年次

    THIRD

    専門科目とゼミで知識を広げ思考を深める

    長期フィールドワークの調査報告をまとめると同時に、各コースの専門科目で深い知識と研究方法を身につけます。また、少人数のゼミに所属し、文献の読解やテーマに関する調査の発表やディスカッションに取り組みます。対話を通じて多様な意見に触れながら、思考を深めていきます。

  4. 4年次

    FOURTH

    4年間の学びを卒業論文として発表する

    4年間の学びの集大成となる、卒業論文を執筆します。書き上げた卒業論文は、2月に行う卒業制作・論文発表展で全員が展示します。学内外の人から客観的な意見をもらうことができる貴重な機会です。

4年間で身につく能力

  • 世界規模の視点で問題をとらえる力
  • 異文化を受け入れ新しい価値を生む力
  • 世界で通用する生きた語学力

専門科目の特徴

留学経験を生かし 生きた語学力を手に入れる

1年次から段階的に英語力をきたえます。第二外国語として、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語も学べます。海外に留学する長期フィールドワークでは、現地の人とコミュニケーションをとりながら、文化や社会問題を調査。生きた語学力を着実に磨きます。英語は留学後も継続して学び、卒業時までにTOEIC700点をめざします。海外の協定校と連携したイベントやTOEICの点数を上げる講座など、授業外のプログラムを活用し、語学力をさらに伸ばすこともできます。

 海外での調査経験を経て語学力を向上
 TOEIC 700点をめざす
 英語の教員免許も取得可能
 
<必修科目>
国際文化概論、国際文化研究、国際文化特講1~4

<選択科目>
現代文化論、言語と社会、文化人類学特講、国際協力論、英語学概論1、英語学概論2、英語文学1、英語文学2、English Communication Intermediate、World Englishes、心理言語学、社会言語学

選べる4つのゼミ

● 異文化理解 ● 地域研究 ● 比較社会 ● 比較文化

長期フィールドワーク

2年次後期の半年間は全員がキャンパスを離れて現地調査へ。日本・海外あわせて12の拠点から研究拠点を選択し、自身の興味や関心に合わせて設定したテーマをとことん追究します。未知の場所で多様な価値観に出会い、思考し、研究成果を他者に伝える。その経験は、将来どのような道に進んでも通用するたしかな力となります。

世界とつながり、 新たな視点で考える力を手に入れる
世界各地に長期滞在し、多様な人々とのコミュニケーションを通して、異文化理解を深めます。現地で暮らすことで、日本だけでなく世界が抱える課題をより具体的に考察。言語や文化の違いを乗り越えながら、人びとが豊かに暮らせる方法を現地での体験を軸にして探ります。

学びのポイント
● 調査期間は半年間(海外は最長1年まで延長可)
 京都をはじめ国内や世界各地で実地調査できる
 実践的な調査力が身につく
  • アメリカ×お笑い文化

    アメリカのコメディ文化と日本の「お笑い」との違いを比較検証する。その内容や特徴を掘り下げ、それぞれの国の人が何をおもしろいと思うのか、文化的背景から探る。

  • 韓国×SNS

    韓国の若者たちはSNSをどのように利用しているのか、目的や状況を調査し、若者たちのコミュニケーションのあり方を日韓で比較する。

卒業論文

4年間の学びの集大成。 表現の大学ならではの展覧会も開催

4年生では全員がA4用紙20枚以上、約24,000文字の卒業論文を執筆します。ゼミ担当教員がテーマ設定から文章の構成まで1対1で指導。2月の卒業制作・論文発表展では、卒業論文や関連資料をひとりずつ展示します。
  • アメリカにおける中等教育における課外活動と大学進学への影響に関する研究—カリフォルニア州の事例より

    筆者は2023 年の3 月から6 月の間、大学のプログラムである「海外長期フィールドワーク」でアメリカに滞在した。現地で出会った大学生と話す中で関心を持ったのが本稿の鍵となる高校生の課外活動への参加である。アメリカでは、高校生は、大学受験を見据えて多種多様な課外活動に参加している。競争率の高い大学の入試ではエッセイや面談などで課外活動の参加が問われることから、一般的に課外活動が必須事項であると認識されている。特に競争力の高い大学になるほど重要となる。一方で、課外活動への参加機会は家庭の経済資本や教育観によって異なる場合がある。アメリカの社会では、より豊かな資本を持つことがよりよい大学への入学につながり、その学歴が収入につながるとされている。その中で、課外活動が大学入試での評価基準として重要視されているのであれば、課外活動が階級再生産の社会構造に加担する一要因になるのではないかという仮説を立てた。

  • 韓国ドラマにおける翻訳の手法  —『わかっていても』を中心に

    本論文は、Netflix で配信されている韓国ドラマ『わかっていても』において、原語でのセリフ、日本語字幕、日本語吹き替えを比較し、セリフがどのように変化しているのか、変化したことによって言葉の伝わり方はどう変わるのかを分析したものである。字幕と吹き替えの制作にはルールがあり、このルールの中で、より多くの情報を伝えるための工夫がされている。
    具体的にはセリフの中でも物語の進行に影響する言葉から優先的に翻訳することや、日本語に翻訳できない韓国語はできるだけ短い意味の言葉を使い、簡潔に翻訳されていることなどである。セリフの分析の結果、吹き替えの方が字幕と比べて、ルールによる制限が少なく情報量は多い。一方で字幕では役者の声を聞きながら映像を見ることができるため、口の動きの違和感を感じることがない。また、役者の声でしか感じ取ることのできないキャラクターの感情が伝わる。

その他の論文テーマ例

 混在する宗教のはざまで —台日宗教交流史より紐解く台湾人の宗教観
 なぜ人は推し活をするのか? —K-POP ファンを事例として
 タトゥー文化と共存への道 —日本の刺青文化とマオリ文化の比較から
 トルコ社会における「女性」の在り方を探る —現地での結婚儀礼への参加体験を踏まえて
 タウシットを「親族」と「民族」概念からの位置付ける試み —マリ都市部におけるトゥアレグ避難民社会を中心として
 イスラーム文化から見るセネガルの衣服文化
 ベトナムにおける日系企業の海外進出 —外食産業を中心に
 日米におけるスターバックスの比較 —現代の生活におけるカフェチェーン文化
 日本における在日コリアンと「コリアンタウン」イメージの変容 —大阪の鶴橋を事例として
 日本とニュージーランドにおける生物多様性の比較研究 ー両国の鳥類保全にむけた取り組みから
 若者とポピュラー音楽の個人化 —バンクーバーでの街頭調査から
 アメリカ国民は、銃を手放すことはできないのか

特待生制度

4年間の授業料を全額免除する特待生制度

人文学部入学試験成績優秀特待生

金額 4年間の授業料を全額免除(入学金20万円+授業料434万円4千円)
 対象 学校推薦型選抜(公募制)・一般選抜の「学力2科目」で優秀な成績を収めた国内学生
 人数 各入試で5名以内

英語要件を満たした学生全員に、毎年50万円を給付

人文学部国際教養学科 英語資格取得奨学金

毎年受験するTOEICの点数条件を満たした学生全員に50万円を給付する奨学金「人文学部国際教養学科 英語資格取得奨学金」。
入学前に申請する制度と組み合わせることで総額200万円(4年間の授業料の約半額)の受給が可能になります。
 
入学時
 金額:500,000円(毎年給付)
 対象:人文学部国際教養学科に入学する国内学生のうち定められた英語資格を有する者
 採用人数:上限なし
 選考方法:提出書類により選考

入学後
 金額:500,000円(毎年給付)
 対象:人文学部国際教養学科に在籍する国内学生のうち次の各号のTOEICスコアを有する2~4年生
・1年次修了までに TOEIC L&R 580 以上
・2年次修了までに TOEIC L&R 690 以上
・3年次修了までに TOEIC L&R 785 以上
 採用人数:上限なし
 選考方法:提出書類により選考

特待生制度や奨学金の詳細はこちらをご覧ください。

卒業後の進路

就職率 97.8%(2024年3月卒)

経験を武器にグローバル社会で活躍する
グローバル化が進む現代では、商社や貿易、観光業から、教育、NGO・NPOなどまで、グローバルな視点での問題発見・解決能力や海外と日本をつなぐ人が求められています。さらに、企業では利益の追求だけではなく社会貢献が新たなキーワードとなっており、ソーシャルビジネスやソーシャルデザインの分野での活躍も期待できます。

 めざせる職業
国際公務員、貿易事務、外資系企業(総合職)、学校教員、学芸員、教育機関職員、旅行コーディネーター、NPO・NGO 職員 など

 主な就職先
国際展開する企業、ソーシャルビジネス関連企業、国際協力機関、旅行・観光企業、出版・Web 情報配信企業、NPO・NGO など

 充実した就職サポート
京都精華大学では、着実にステップアップできるよう学年別のサポートや、幅広い進路に対応した充実のキャリア支援体制を築いています。
履歴書対策や面接対策など、個別指導も充実しています。

取得できる資格

 高等学校教諭一種免許状(英語)
 中学校教諭一種免許状(英語)
 図書館司書
 博物館学芸員

VOICE

  • 西田 テオさん在学生

    世界をフィールドに貧困や共生を考える。

    高校生の頃から社会問題に興味があり、特に海外の情勢に注目していました。このコースは、まさに私が学びたいと思っていたことをすべて網羅していたんです。とくに長期フィールドワークは、私にとって大きな転機になりました。調査テーマは「フィリピンの子どもの貧困問題」。現地のソーシャルワーカーに同行して子どもたちの家庭を訪問し、スラムで暮らす彼らの生活を目の当たりにしました。子どもたちに英語や算数を教え、楽しく交流する一方で、社会の不平等や教育の重要性を改めて実感。卒業論文では、この調査を発展させ、世界各地で起こりうる貧困の連鎖について考察しています。NGOや政府機関などの外部支援の方法や影響を調べ、貧困の再生産からどうすれば脱却することができるのかを考える日々です。
    大学で過ごした4年間は、私にとってかけがえのない財産です。外国で住む刺激や楽しさを知り、たくさんの人とかかわったことで、多くの気づきや新たな視点、問題解決に向けて積極的に行動する力が身につきました。この先も世界中のさまざまな場所に訪れ、自分の目で見て考え学んでいく、どんなことにも挑戦し続ける人生を歩んでいきたいと思っています。
  • 清水 佳歩さん在学生

    海外経験がひらいた、 手話言語学への道

    高校時代にフランスを訪れたことをきっかけに、大学では留学をしたいと考え、長期フィールドワークのプログラムがある京都精華大学を選びました。私は耳が聞こえないので、障害学生に対する授業支援の体制が充実していることも魅力のひとつでした。大学入学後は台湾に興味を持ち、日本の植民地統治が台湾語にどのような影響を与えたのか、そして「台湾と日本の手話に見るろう文化の比較」をテーマに調査をしています。長期フィールドワークでは、台湾のろう学校やろう協会を訪れ、聴覚障害のある方にインタビュー調査を行いました。手話も国や地域によって異なる言語表現で、世界共通のものではありません。勉強会に参加したり、現地の友人に教えてもらったりして台湾の手話を習得しました。この経験を通して、「手話言語学」について本格的に研究してみたいと考え、卒業後は海外の大学院への進学をめざしています。手話言語の研究や法的整備が進んでいる国を探しているところです。
    大学はこれまで知らなかった世界や、たくさんの経験に出会える場所です。私のように海外経験を通して、将来の道を見つけることもできるかもしれません。興味があれば、勇気を出して一歩踏み出してみてください。
  • 鈴木 赳生教員

    比較の視点と考え抜く力で 「驚き」を研究に発展させよう。

    海外での現地調査に挑戦するなら、日本の社会についても勉強しておきましょう。なぜなら、調査の成果が「海外でこんな現象があって驚いた」で終わるのはもったいないからです。驚いた現象を日本での現象と比較して、どこに共通点・相違点があるか、なぜそれが生まれるのかを考えてみてください。そうすれば、共通点・相違点を生む歴史的背景や、そこで生きてきた人々の生活へと興味が広がり、地域への理解が深まっていきます。
    たとえばわたしの調査地のカナダは、日本と比べて、さまざまな人々が平和に共存する多文化主義の先進国とも言われます。しかし、もともと現地に暮らしてきた先住民にとっては「カナダ」それ自体が入植者に押しつけられた外来の異物です。このような植民地化の経緯から根深い不和がある状況下では、表面的な「和解」ではなく、植民地支配の過去と現在に向きあう、より深い意味での共生が求められています。その現場を調査するわたしの研究は、翻って、日本国家とアイヌや在日コリアンの関係を考える際にも有効な視点を提供できるはずです。カナダで多文化主義が「進んで」いて、日本は「遅れて」いる、といった単純な対比をこえていけば、海外と日本を地続きで捉える視野が開けてくるのです。