作品に命を吹き込む 「動き」の力を探求する

アニメーションコースで最も重視しているのは、「動き」を追求すること。「動き」によって、キャラクターの感情はもちろん、性格や年齢など多くの情報を伝えることができます。授業では、この力を理論と実技の両面から学修します。さらに、作画やCGなどの技術力だけではなく、演出、撮影、音響などアニメーション作品づくりに関わるあらゆるスキルと理論を学ぶことができます。たとえばひとつの作品には、その世界観を支えるための背景、環境音や効果音、CGを利用した光や爆発のような特殊効果など、さまざまな専門家が関わっています。こうした力を総合的に身につけて、世界中の人の心を揺さぶれるような作品のつくり手をめざします。

科目PICK UP

  • アニメーション応用実習/2年

    作画分析演習クラスではパントマイム、能楽の芸術鑑賞を実施、様々な伝統文化を通じ「動き」の要素を学びながら、デジタル作画の技術についても体得。絵コンテをもとにショートアニメーション制作を行います。また演出クラスでは絵コンテの読み解き方と描き方を学習します。

  • アニメーション応用実習/3年

    『千と千尋の神隠し』や『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』『さよならの朝に約束の花をかざろう』などの音響監督を務めた若林和弘が声優や音響効果スタッフをゲストに招き、アフレコや効果音、フォーリー制作など実践的な授業を行うことで、アニメーション音響を演出 という視点から深く踏み込んで学びます。

4年間の学び

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    FIRST

    作画力と「動き」を学ぶ

    デッサン、水彩画、色彩構成など、基礎画力を身につける。アニメーション制作の基礎となる動画やタイムシート、CGの初歩的なスキルを学ぶ。能や文楽を鑑賞して「静と動」を理解する授業も。
    授業例:アニメーション基礎研究、ドローイング、アニメーション作画基礎、アニメーションCG基礎 など

  2. 2年次

    SECOND

    専門分野の知識・技術を学ぶ

    作画での動きの表現、音響、3DCGなど、関心がある分野の専門知識を学ぶ。またシナリオや演出の観点からの学びを深める。
    授業例:アニメーション演出基礎、シナリオ技法、アニメーション3DCG、アニメーション音響基礎、ストップモーション など

  3. 3年次

    THIRD

    企画・制作を実践的に学ぶ

    企画の立て方や絵コンテの描き方などを含め各専門領域をより深く学び、本格的なアニメーションが制作できる礎をつくる。
    授業例:アニメーション実践実習(音響、製本、CG、作画、実写、撮影クラス)、アニメーション応用技法(キャラクターアニメーション、背景クラス)など

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    FOURTH

    卒業制作に取り組む

    チームを組んで取り組めることが特長。作画や進行などの担当を分担し、力を合わせて卒業制作を仕上げる。完成した作品が芸術祭などで評価されるケースも。

4年間で身につく能力

  • 高度な作画力と業界標準のCGスキル
  • オリジナルの作品を企画し、他者に伝える力
  • アニメーション制作のための専門的な知識と技術

施設

学年ごとに用意された実習室。

PICK UP!

  • 音響スタジオ

    最新の機材がそろった音響スタジオ。効果音制作や音響演出について学ぶことができます。

  • ストップモーションアニメーションスタジオ

    ひとコマずつ物体を動かし映像化するストップモーションアニメーションのためのスタジオを完備しています。

卒業後の進路

学生作品が数々の賞を受賞するなど、学びの成果が高く評価されているこのコース。卒業後もアニメーション作家として、アニメーション制作会社で活躍するクリエイターを数多く輩出しています。確かな作画力とCGや音響のスキルをもてば、多様な表現領域で活躍できます。

 

 めざせる職業
アニメーター、CG クリエイター、音響制作・演出、ゲームデザイナー、コンセプトデザイナー、美術教師 など


 主な就職先

アニメ制作会社、ゲームメーカー、映像配給会社、映像制作会社、Web 制作会社、教育機関 など

取得できる資格

在学中、指定された科目単位を取得すれば、以下の資格を取得することが可能です。

その他、検定・資格取得のための支援講座も用意されています。

 

 高等学校教諭一種免許状(美術)
 中学校教諭一種免許状 (美術)
 図書館司書
 博物館学芸員

VOICE

  • 村上 修志さん在学生

    演出も音楽も脚本も、全部学べるのがアニメの魅力。

    絵を描くことはもちろん好きなのですが、映画や芝居や音楽にも興味がありました。「アニメーション学科に入れば、絵も演出も音楽も脚本も、全部学べる!」と思いつき、入学を決めました。このコースの特長は、留学生や年上の同級生が多いこと。多様なメンバーとチームを組み、それぞれの得意分野を生かして作品を完成させるのは刺激的で楽しいです。また、自分の考え、感情、思い出など、すべてを活用するアニメーション制作にも、やりがいを感じています。好きな授業はたくさんあるのですが、おすすめをひとつ選ぶなら、音響スタジオで収録技法を学ぶ『アニメーション音響基礎』。なかなか触れられないプロ仕様の機材を自由に使えるので、声優や音楽に興味がある人ならきっと満足すると思います。現在は卒業制作に取り組んでいます。脚本・演出・作画・背景美術・音響など、すべて自分が担当して仕上げる予定。表現したいことや伝えたいことは山ほどありますが、あくまでも見る人が楽しめる作品にしたいと思っています。将来の目標は、アニメーション作家になることです。幼いころの自分が映画やアニメに夢中になったように、誰かの心に残る作品を生み出すことが夢です。
  • 石井 規仁教員

    キャラクターに命を吹き込む喜び。

    アニメーション制作とは、「キャラクターに命を吹き込む」ということです。制作者は、身体が覚えている経験や、人生の中で経験したこと、自分の個性などを一旦認識したうえで、作品へと反映していきます。そのような過程を経て、キャラクターが生き生きと動く作品をつくり出すことが、この分野の魅力です。自分自身を知ることにもつながるこうした表現に取り組むことは、きっとあなたの人生に彩りを与えてくれるでしょう。
    総合芸術であり、職人芸でもあるアニメーションを制作するには、作画、演出、音響、3DCGなど、広範囲な知識と技術が必要です。つまり、アニメーション制作を学ぶということは、そのような幅広い知識と技術を身につけられるということでもあります。本コースには経験豊富な教員が在籍しています。プロフェッショナルの指導のもと、制作に必要な力を一つひとつ身につけていきましょう。また、教員や仲間との関係を通して、豊かな心も育んでほしいと思います。近年、アニメーションは、映画、広告、アートなど、さまざまな分野に活用されています。国内外で作品が注目される機会も増えており、表現の可能性はどんどん広がっています。大学で得た経験をもとに、世界へと大きく羽ばたいてください。
  • 下村 浩一教員

    「動き」で、キャラクターに命を吹き込む。

    アニメーションの最大の魅力は「動き」にあります。自分で創り上げたキャラクターが動いたときは、きっと大きな喜びを感じるでしょう。さらに、動かす技術を上達させれば、キャラクターのリアリティが高まり、感情まで伝えられるようになります。それは、まさに命が吹き込まれる瞬間。そんな感動が味わえることが、アニメーション制作の醍醐味だと思います。私自身は、主に3DCG映像を制作しています。商業アニメーションの3DCGを数多く担当した経験を生かして、最近はプロジェクションマッピングなどイベントで活用される映像の制作にも携わっています。アニメーション作品の多くは、さまざまな分野のプロフェッショナルが力を合わせて完成させます。みなさんには、在学中に自分の得意分野を見つけて、その専門性を高めていってほしいと思います。
    マンガ学部は、マンガやアニメの世界をめざす学生が大勢集まる刺激的な場です。入学したら、同じコースの学生はもちろん、他コース・他学部の学生とも交流してください。そうして世界を広げながら、自分が表現したいことを探し、誰かに影響を与えられるような人間力を育みましょう。