洋画コース卒業生のAICONさんによる個展「Oxygen Levels」が開催。同コース卒業生の黒田純平さんがキュレーションを務めます。

この度、AICONの個展「Oxygen Levels」を、武蔵小山のFLOATにて開催する。

 

AICONは京都の美術大学で西洋画を学び、そこから印象的なラインとミニマルな画面構成を特徴とする現在の作品形態へと変化してきた。古典的な肖像画に着想を得ながら、その形式を徹底して抽出・再構成することで、大胆さを併せ持つ独自の造形表現を展開している。

 

AICONが描き出すラインのパターンは、人間像を物質そのものとして捉え、物語や判断を取り払う試みでもある。彼女の作品はアートの知覚における役割を見直し、解釈ではなく純粋な観察の状態を提示する。

 

余分な装飾を削ぎ落とすことで、今日の過剰に飽和した視覚環境においても、明晰さと静かな決意を湛えた空間を生み出しているように思える。

 

「Oxygen Levels（＝酸素濃度）」は、AICONにとって、身体的な酸素量と精神的な集中とのバランスを象徴するメタファーである。制作の最中、彼女は呼吸を忘れるほど没頭することがある。そんな状態で生まれるアートワークは、まるで作品自体も酸欠気味に見えることがあり、そこから呼吸を取り戻し、しなやかに制作と向き合うための小さな挑戦が始まった。　

 

本展を通じて、AICONが大切にしている「力を抜きながら、芯を保つ」という姿勢を感じ取ってもらえたら幸いだ。